食品科学科

 

 食品科学科では、食品の製造や貯蔵方法、衛生面などについて学習しています。授業は座学(知識として学ぶ)と実習(体験として学ぶ)があります。実習は、農畜産加工班・製菓製パン班・実験乳加工班の3班があり、1~2年生は3班をローテーション、3年生は専攻する1班を選び実習します。

 ここでは、日々の活動の様子を中心にお伝えしていきます。

サンピスの製造パン生地の分割卵の熱凝固の実験

 

 

 

 

 

 

イチゴジャムの製造クリームパンの製造フライ乾燥の実験

記事

食品科学科だより

醤油の試作

「醤油の試作」(2年生:3月)を行いました。

前半は、いつもの通りプリントで麹の特徴や醤油の種類について座学(知識として学習)。

後半は、いよいよ実践です(体験として学習)。

【内 容】

①【準 備】前日にダイズを水洗いし、一晩水につける。

②【蒸 煮】①を圧力なべで、柔らかくなるまで煮る。

③【破 砕】麦茶のムギをそのままミキサーで荒くつぶす。

④【混合①】保存びん等をアルコール消毒し、②のダイズと

      ③のムギと④のこうじを均一によく混ぜる。

⑤【混合②】塩水を保存びんに入れよく混ぜる。

⑥【発酵・熟成】冷暗所において発酵・熟成させる(約1年間)。

         その間1週間に1回かい入れをします。

⑦【こし・圧搾】ザルやこし布でこし取る。

⑧【火入れ】65~70℃/30分間加熱する。

⑨【 おり引き 】火入れした醤油の沈殿物(=おり)を沈める。

⑩【完 成】ビンに詰めて、完成。

②蒸煮前に薄皮を剥く

③今回は麦茶のパックを代用④生徒は興味津々

 

 

 

 

 

 

⑤塩水を加える。⑥仕込み後の様子

⑩昨年試作し火入れした醤油

 

 

 

 

 

 

※定期的にかい入れをして、発酵熟成を促します。1年後の完成が楽しみですね!

1年生がオンラインで報告会参加

 2月22日(月)5・6校時、1年3組25名がオンラインにて「福島イノベーション・コースト構想の実現に貢献する人材育成」成果報告会に参加しました。これは浜通り地域や県内各地域の高校生が、社会の仕組みを変える先端技術や独創的なアイディアを創造する態度を育てる取り組みです。この日生徒たちは「持続可能な社会を目指して」をテーマに福山厚子先生(第一工業大学工学部教授)の基調講演を聴講しました。 普段とは違った形式の授業でしたが、生徒は真剣にメモを取り聴きいっていました。

 

 

 

 

 

 

<生徒の声>

・今まで知らなかった課題に触れ、たいへん参考になった。

・持続可能な社会のため、私たちが行動を起こさなければならないと感じた。

・これからも福島県がより良くなるために、私たちが頑張らなければならない。 等々

ミカンの薄皮のとり方

「ミカンの薄皮のとり方」(2年生:1月)を行いました。

前半は、いつもの通りプリントで柑橘類や重曹による加水分解について座学(知識として学習)。

後半は、いよいよ実践です(体験として学習)。

【内 容】

①ミカンを一房ごとに分け、ザルに入れる。沸騰したお湯に重曹を入れる。

②ミカンをザルごと鍋に入れ、弱火で4分間ほど煮る。 

③少し白い繊維が残るくらいで水を入れたボウルに移し、流水で洗って繊維を落とす。 

④砂糖と水を鍋に入れ、中火で砂糖が溶けたらレモン果汁を入れる。

⑤ミカンと④を密閉容器に入れ、冷蔵庫で一晩冷やして完成!

 ①すじも丁寧にとる。②ごく弱火でゆっくり煮る。②湯がミカン色になってきたら取り出す。

 

 

 

 

 

 ③薄皮が溶けて簡単にとれる。③うまく薄皮が取れました。⑤ミカンのシロップ漬けの完成

 

 

 

 

 

【生徒の声】

  ・薄皮を剥くのではなく、重曹で分解していてびっくりした。つるんと簡単にとれた。

  ・お湯から取り出すタイミングが遅いと、粒々もバラバラになってしまう。

  ・市販のミカンの缶詰みたいで、とても美味しかった。

〇ミカンの季節なので実習に取り入れました。他の柑橘類でもできるかな?

そばの試作・試食

「そばの試作・試食」(2年生:12月)を行いました。

前半は、いつもの通りプリントでそばの作り方やアレルギー物質について座学(知識として学習)。

後半は、いよいよ実践です(体験として学習)。

※今回は二八そばで実践しました。(そばを食べれない生徒は、うどんを製造)

【内 容】

①そば粉と小麦粉をふるいにかけ、よく混ぜる。

②水分を入れ、全体にをいきわたらせる。

③粉の塊を練りこんで、一つの玉にしていく。

④空気を抜きながらねっていくと、表面がなめらかでつやが出てくる。

⑤生地を台の上に置き、手で生地を押し広げる。めん棒を使い四角く伸ばす。

⑥包丁と小間板を使い切る。

⑦お湯を沸騰させ、そばをほぐしながら入れ泳がす。

⑧冷水で一気に冷やし、粗熱とぬめりを取るようにもみ洗いする。

⑨ザルにあげ、完成。

②水分を均一にいきわたらせる④なかなか力がいる⑤思う方向に伸ばせない・・・

 

 

 

 

 

 

 ⑥真剣に切り方を教わる⑥やってみるとなかなか難しい⑨幅はバラバラだけど、完成!

 

 

 

 

 

※最後はみんなで、自分のそばを交換して試食しました。

 【生徒の声】

  ・②③がうまくまとめるのが難しい。

  ・切るときの幅の調整がすごい難しかった。

  ・自分で打ったそばは、ツルツルしていて美味しかった!

〇専攻班に分かれて初めての実習でした。

 年の瀬を感じつつ美味しくおそばを試食しました。

 

ヨーグルトの製造(販売)

「ヨーグルトの製造(販売)」(2年生:11月)を行いました。

実習前半は、いつもの通りプリントで乳酸菌の特徴や乳製品の種類について座学(知識として学習)。

後半は、いよいよ実践です(体験として学習)。

【内 容】

①スキムミルク・コンデンスミルクを水に溶かす。 お湯にゼラチンを溶かす。

②①の脱脂乳をゆっくり加温する。40℃で上白糖、50℃でゼラチンを加える。

③65℃になってから30分間殺菌する。その後、殺菌したら40℃まで冷却する。

④ろ過しながら、タンクに入れる。その後、レモンエッセンスとスターターを添加する。

⑤容器に100mℓずつ充てんし、40℃/12時間 発酵させる。

⑥底面から異物をチャックし、冷蔵庫で冷やす。

⑦2個ずつ包装し、完成。2個入り一袋100円で販売。

 ①材料を混合する⓶だまにならないよう混ぜながら加温③温度管理をしっかりと

 

 

 

 

 

⑤ひとカップずつ丁寧に充てん⑤乾熱滅菌機を利用し発酵⑦包装し完成

 

 

 

 

 

 

※発酵に一晩かかるので、翌日に完成。昼休みに生徒が校内で販売しました。

【生徒の声】

・1年生の時も製造したので、スムーズに製造できた。

・衛生面はもちろん、発酵食品は温度管理が大切だと分かった。

・販売では、あっという間に完売して楽しかった。

 

~12月からは1年生がヨーグルトを製造販売します~

小麦粉のグルテン形成の比較実験

「小麦粉のグルテン形成の比較実験」(1年生:10月)を行いました。

実習前半は、いつもの通りプリントで小麦粉の種類や特徴、麺類の規格について座学(知識として学習)。
実習後半は、いよいよ実践です(体験として学習)。

※うどんは主に中力粉が使用されます。

 今回は比較のため、薄力粉・強力粉でこねる時間でどう変わるかを実験しました。

 (1班:薄力粉を10分こねる。2班:強力粉を10分こねる。3班:強力粉を20分こねる)

【内 容】

①材料を計量し、小麦粉に塩水を注ぎ混ぜる。生地がまとめよくこねる。

②こね時間通りこね、袋に入れて室温で30~60分ねかせる。

③のし台に打ち粉をし、ねかした生地をめん棒でのばす。

④③を包丁で切る。

⑤④をよくほぐし、15分程度ゆでる。

⑥ゆで上がったら、流水で よく洗い、ざるにあけて 水を切って完成。

各班きっちり計量強力粉は弾力が強く、伸びにくい同じ幅に丁寧に切る

 

 

 

 

 

溢れないように注意!左から1~3班のうどん

最後は試食で違いを理解

 

 

 

 

 

 

 

【生徒の声】

・初めてうどんをつくったけど、思ったより簡単で家でもつくってみたい。

・見た目は1班が黄色っぽく、2班と3班は白っぽかった。

・1班のうどんはコシがあって丁度よかった。3班のうどんは固すぎてあごが疲れた。 

 (小麦粉は、こねるほどグルテンが形成され固い食感になります。)

今後も、教科書の内容を実習に取り組んでいきます。

 

 

香辛料の理解とトマトの加工

「香辛料の理解とトマトの加工」(2年生:9月)を行いました。

実習前半は、いつもの通りプリントで香辛料の種類や特徴、トマト加工品の規格について座学(知識として学習)。
実習後半は、いよいよ実践です(体験として学習)。

※今回のトマトは、生産流通科で栽培した加工用トマトを使用しました。

※香辛料は、コショウ・セージ・チリペッパー・ナツメグ・クローブ・シナモン・オールスパイス等を使用。

【内 容】

①完熟トマトを洗浄する。

②トマトの皮に十字に切目を入れ、ヘタ等を除去する。

  お湯に浸したあと、冷水につけ皮をむく。

③トマトをミキサーにかける。

④ザルにあけ、裏ごしする。

⑤④を、強火でたえずかき混ぜながら加熱する。 

⑥⑤に香味野菜(ニンニク・タマネギ)と、砂糖・塩を加え、さらに煮詰める。

⑦⑥に香辛料と酢を加え、ひと煮立ちさせ火を止める(酢の水分がとぶ程度)。

⑧熱いうちに殺菌したびんに充てんし、密閉する。

⑨殺菌処理をして、冷えたら完成。

②みんなで皮をむく

④ザルで丁寧に裏ごし

⑦使用した香辛料

 

 

 

 

 

 ⑦香辛料の香りがひろがる⑨完成したトマトケチャップ実際に自分の鼻と舌で、香辛料の特徴を確かめる

 

 

 

 

 →計3回の実習で、約13kgのトマトを約1kgのトマトケチャップに加工しました。

 市販のものより、香辛料が利いていてソーセージ等肉料理に合いそう。

 香辛料についても、ホール(粉等にしていない原形)のものを見たり、

 香りや味を比べ、楽しくコメントし合いました。

【生徒の声】

・煮詰める時に、はじいてすごい熱かった。多くの香辛料が入っていて驚いた。

・トマトピューレやトマトペースト等、トマト加工品の規格があることが分かった。

・いろいろな香辛料をバランスよく合わせたことで、おいしいケチャップになった。

 

今後も、教科書の内容を実習に取り組んでいきます。

 

 

デンプンの理解と比較実験

「デンプンの理解と比較実験」(2年生:8月)を行いました。

実習前半は、いつもの通りプリントで穀粉の種類やデンプンの特性について座学(知識として学習)。

実習後半は、いよいよ実践です(体験として学習)。

※比較のため、タピオカ粉・コーンスターチ・片栗粉の3種類の粉で実習しました。

 

【内 容】

①袋に粉類とココアパウダーを入れ、よく混ぜる。

②鍋に水と黒砂糖を入れ、加熱しながらよく混ぜる。

  →その後、火を止めて①を加えてよく混ぜる。

③鍋から②を取り出し、色が均等になるまでよくこねる。

  →その後、5mm程の球に整える。

④鍋にお湯を沸かし、③のタピオカパールを中火で20分間茹でる。

  →その後、火からおろし蓋をして、20分間蒸らす。 

⑤④をザルにあげ、流水で軽く洗い、水気を切る。

⑥別の鍋に、⑤のタピオカと水と黒砂糖を入れ、弱火で2分加熱して完成。

②しっかりと練り合わせる

③同じ大きさに丸める③できたタピオカパール

 

 

 

 

 

④いよいよ茹でる ⑥上がコーンスターチ、左が片栗粉、右がタピオカ粉⑥試食はミルクティーで!

 

 

 

 

→同じ分量で3種類つくりましたが、

 片栗粉はうまくまとまらなかったり、コーンスターチはボソボソと丸くならなかったりしました。

 食感もそれぞれ違って、一番モチモチしたのは、やっぱり「タピオカ粉」でした。

(生徒の声:いろいろな穀粉かあって、特徴が違うことがわかった。

      初めてタピオカをつくったが、思った以上に大変な工程だった。

      片栗粉で粒状にするのはかなり難しかったし、食味も違った。

      モチモチしていて普段食べるタピオカそのものだった。)

今回は、生徒から「タピオカをつくりたい!」とリクエストがあったので、実習で取り上げました。

今後も、生徒の声を聴きながら実習していきます。

「燻煙の理解と比較実験」(実験乳加工班)

「燻煙の理解と比較実験」(2年生:6月)を行いました。

実習前半は、いつもの通りプリントで食品の貯蔵方法、燻煙の種類・効果について座学(知識として学習)。

実習後半は、いよいよ実践です(体験として学習)。

【内 容】

~前日~

①ゆで卵をつくる(黄身が中心に来るようにかき混ぜながら)。

②殻をむき袋にめんつゆとともに入れる。→冷蔵庫で半日漬け込む。

 ~当日~

③ゆで卵を取り出し、ペーパーで丁寧に拭き乾燥させる。

④スモーカーにチップを置き(燻煙量の比較のため、チップ20gとチップ40gのスモーカーを準備)、

 ゆで卵を入れ、蓋をかるくする。

 →中火にかけ、蓋のフチから煙が出たらチップが焦げ始めたサイン。

  弱火にして6分間。その後、火を止める。

⑤スモーカー内の煙が落ち着くまで蓋は開けず5〜10分程度待って、完成。 

①もちろん最初は真っ白色

③の段階。少しつゆの色が着いている程度初めての燻製作りに興味津々

燻煙中。様子を見ながら説明を聞く

燻煙終了。艶のあるあめ色に完成。燻製のいい香りがひろがる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→同じ条件でチップ20gとチップ40gの2つのスモーカーで実施しましたが、

 あまり差はなかった。(チップ40gの方がやや香りが強いかな?)

(生徒の声:初めて燻製品をつくったが、いい香りでおいしかった。

      香りが強く大変だが、サクラ以外のチップも試したい。)

今回は、燻煙の簡単な実験だったが、冬になれば農畜産加工班で本格的にハムやベーコンを製造します。

 

 

「旨味の理解と比較実験」(実験乳加工班)

「旨味の理解と比較実験」(2年生:5月)を行いました。

実習前半は、いつもの通りプリントで味覚や味の相互作用、旨味の種類について座学(知識として学習)。

実習後半は、いよいよ実践です(体験として学習)。

【内 容】

①前日のうちに、A~Eの5つのボトルを準備する。

A B C D E
昆布1%だし汁 昆布2%だし汁 昆布3%だし汁 昆布4%だし汁 昆布4%だし汁+干し椎茸

②①をランダムに各自試飲して、自分の味覚だけを頼りに5つを当てる。

色で分かるので、全員目を閉じ試飲

思った以上にムズかしい

左からA~E(見た目で違う)

 

 

 

 

 

 

→5つすべて当てられた生徒は36名中3名だけでした。

(生徒の声:昆布の旨味について、自分の舌を使って学ぶことができた。

      色を見ればわかるが、味だけだと全然わからなかった。難しいけどもう一回やりたい。

このあと、お湯+塩1%昆布だし+塩1%昆布だし+かつおだし+塩1%の3種類を飲み比べ、

『味の相乗作用(旨味が重なると、味が濃くおいしく感じる)』についても実施しました。

旨味を中心に、味覚について学びました。